パラメトリック・デザイン 02:illustratorスクリプティング

パラメトリックデザインというのは、変数(パラメータ)を使って形状のデザインスタディを行う、あるいは最終形態自体が、固定的でなくて可変性をもったデザイン成果物のことを言うのだが、最初にこのような概念を知ったのは学生の頃だった。

未来を拓く建築システム より

「未来を拓く新しい建築システム」 より 鳥居の形状スタディ

確か、なんだったかCADの授業か何かで、「未来を拓く新しい建築システム」という本を読まされ、(読まされたのか、買わされたか、授業でコピーが配られたのか、もう忘れてしまったが…)あまりに直球なネーミングの書籍名に怪しさを感じ、たぶんコレで未来が拓かれることはないだろうと一瞬思ったが、その中には、神社の鳥居のような形状を変数によっていろいろランダムに変更していくスタディが掲載されていて、あ、自分が間違っていた、これはすごく面白いと思った。

本文中には、CADでないとこういう発想はしない、という記述があり、こういうデジタルツールの使い方は、アナログを便利に画面上に置き換えただけのものではない、デジタルならではのものになっている。

この本自体は随分むかし(2005年)に書かれたようだが、これは現代に至るまで重要な指摘だと思っている。デジタルツールは、紙の上でもできることを便利にパソコン上でできるようにしたという以上の意味を持つ。ただ、アプリケーションを普通に扱っていると、なかなかそういう発想を持つことは難しい。例えば、ふだんデザイン作業で使用するようなillustratorやphotoshopといったものも、基本的には、色を塗ったり、文字を配置したり、以前は紙の上で手作業で行なっていたことを、パソコン上で、修正なども便利にできるようにしたものであって、ツール自体もそういう発想で作られているから、使い方に個々人の幅があるとはいえ、ツールの使い方以上のことをするのはなかなか難しい。上述の本の中にも、「(ツールの)機能の限界が、そのままデザインの限界となる」という記述が見られる。

もちろんillustratorやphotoshopは、かなり汎用性がある完成度の高いアプリケーションなので、それで作れないものなど殆ど無いようなものなので、想像力さえあればなんでも作れるはずなのだが、人間の想像力というのは、よほどの天才でない限り、そこまで柔軟ではない。先入観もあるし、思い描く形状には、自分の「癖」のようなものもある。だから、デジタルツールには、ただ自分の頭を再現するだけのものでなくて、発想を助けてくれるような、良き助手のような働きを求めたくなる。それなのに、通常のillustratorやphotoshopは、上述の本の鳥居のような、アレコレと形状をいじくり回して、デザインのスタディを行う段階のツールとしては考えられていない。

randomcolor

ツールを、最初に想定された以上の使い方をするには、自分でプログラム(スクリプト)を書いて、ツール自体を変更するしかない。。ツール自体を改造することで、新しい形状の可能性を探す。例えば上の簡単な例では、色という要素をパラメータ化し、形に自動的にランダムな色彩を与えるプログラムを書いている。そうやって、色の組み合わせを考えることをコンピュータ任せにしてみると、自分ではふだん思いつかないような色の組み合わせが考えられる。自分のクセのようなものから抜けることができる。大量のスタディを行うのはコンピュータで、そこから選ぶのは自分、という作業分担ができる。

こういう、単に四角形に色彩をランダムに割り当てるといった簡単な例も、ツールに最初からある機能だけでは行うことができない。もちろん、手作業でひとつひとつ色を適当に割り当てていくことはできると思うが、そんな時間があるなら、寝ていたい。こうやってツールを拡張することで、より手軽に、無数の色彩スタディを行うことができる可能性を広げることができると思う。。

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