朗文堂・新宿私塾02:タイポグラフィに興味を持ったきっかけ 07

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前回に続き、タイポグラフィを朗文堂で学び始めたばかりのころの話が続きます。

スペーシング

冒頭の写真は、スペーシング(カーニング)の授業で作ったものだが、minamimonという小文字の文字列を、一文字一文字切り離し、それらの位置を0.何ミリかの精度で、ピンセットを使って調整していくことをやった。パソコン以前の昔のデザイナーは皆、このように紙の版下の文字をツメたり広げたりして、文字がきれいに見えるように調節していた。この「minamimon」という文字列での練習は、ここで考案されたものらしく、mとかnとかiの縦棒をいかに均等にリズミカルに配置できるか、それに対して円形を含むaとかoをどの位置に置くのがバランスよく見えるか、など、全体のバランス感を養うのにとても良い文字列らしい。このような教育メソッドも面白いと思った。

こういう文字間隔の調整は、デザイナーの基礎的な技術なのだけれど、当時の自分はそういうことすら知らなかった。それからというもの、何気なく見ていた書籍やら広告やらパッケージやらのすべての文字の間隔が気になるようになった。文字間の開け方の違いで、雰囲気や、印象が全く違ったものになっていることに、それまで気づいていなかったことがおかしいと感じるほど、文字が違って見えるようになった。文字の使い方をもっと知っていけば、自分の中でデザインの良し悪しを判断するモノサシができていくのだろうと思えたので、畑違いの分野から興味を持った自分にとっては、そういう道しるべが見えたことが、うれしかったことを覚えている。

ちなみに、文字を切り貼りしているので、当然、紙の厚みの影が落ちて、それがはっきりと線に見え、その状態だと文字の間に余計な線が何本も入って見えるのと同じなので、当然バランスがおかしく見える。それで「髪の毛1本分、右に」とかいうものだから、そんな微差より、この影をどうにかしないと意味ないのでは、、、と思っていたが、逐次コピー機でコピーを取って、その影を消して確認するとのことだった。目を細めて見ることで、細い影の線を消してハッキリした文字の部分だけ見えるという技もあるらしかったので、それらを併用したりした。

ここでは、技術、文化、芸術の観点から、文字を多角的に学んでいくとのことだったので、最初はこのような初歩の技術から習っていった・・・

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