SNS広告とAIの昨今のニュース01 : Facebookの脳科学研究所

先日、人とFacebookのmessenger通話で会話していると、その人のInstagramのフィードに、会話中に出てきたワードに基づく広告が次々と表示されるということが起こった。自分はInstagramに登録していないので、その現象を確認できなかったのだが、会話中に「X JAPAN」「ドラゴンボール」というワードが出てきた時に、それに追従するようにYOSHIKIやドラゴンボールの広告フィードが現れたという。自分がほとんど意味なく、「X JAPAN」と発したことで、相手のInstagramに無駄に目立つYOSHIKIを表示させてしまったことは少し申し訳なかった。

リアルタイム音声解析による関連広告表示というのは、技術的には存在していることは知っていたが、プライバシーの問題から実践には結構な障壁があると思っていたので、このように関連広告が普通に表示されたことに少し驚いた。

InstagramはFacebookのやっているサービスなので当然、関連するし、Facebookは人々の投稿した膨大なテキストや写真などを分析して、ユーザーの嗜好に合わせた最適な広告フィードを出すアルゴリズムを常に研究、実践しているので、messengerの会話をリアルタイム音声分析することなど当然やっていることだろう。ただ実際にそれをやるには、先にも述べたようにプライバシーの問題でユーザーからの反発が大きいだろうから、今回は小規模なランダムテスト的にやっているのではと思われた。

from ADWEEK website

先月、ADWEEKというニュースサイトで、Facebookが、ニューヨークにThe Center for Marketing Science Innovationという、脳神経科学を駆使したマーケティング分析を行う研究機関を設立したという記事を見た。記事によると、アイトラッキング、皮膚反応、心拍数、表情などのユーザーの生体データを測定して、ニュースフィードや広告がどのように人間の感情に影響を与えているかを研究しているという。この手の研究期間は、新しいものではないけれど、ここ数年で急激にポピュラーになってきていると、記事には書いてある。

確かに広告の効果測定の手法については、グループインタビューやユーザーによるアンケート調査などが、いまだに一般的だ。実際に製品を買って欲しいターゲットの人たちに、直接聞くのだから、結果に信憑性があると考えるのは自然だが、それらのユーザーインタビューというのは結構ブレがあり、実際そんなに効果を発揮しないケースがたくさんあることも、良く知られている。

このユーザーインタビューなどを行った際に、広告代理店などがまとめるリサーチ結果に必ず含まれる用語で、もはや広告業界では死ぬほど使われている「インサイト」という言葉がある。

「インサイト」というのは、「(調査を受けた)ユーザー本人すら気付いていなかった、そのユーザーが本当に欲している何か」みたいな意味で、例えば、人気の喫茶店があって、なぜその店だけがやたら人気なのか調べたところ、皆が「コーヒーがすごくおいしいから」みたいなことを回答したのに、「イヤ、実は店の人気の原因はそこではないのだ、実はその店の回りには人々が腰を落ち着けて休める場所がほとんどなかった、カスタマーは実はコーヒーを味わいに来ているのでなく、ゆっくり休める快適なソファのある店を求めていたのだ。」みたいな感じで、隠されていた(とされる)潜在的欲求のことをいう。

アンケート結果をそのまま信用することはせず、これはタテマエで、本当はこう思っている、ということをやるのだから、良く考えてみるとトリッキーなことではある。インサイトという考え方は本当にもうどの広告会社もやることなのだけど、アンケート上、誰も口にしていないようなことを、「実はユーザーが本当に感じていること」として抽出するというのは、普通に考えれば結構あやふやなことだ。そのユーザーが本当に感じていることというのは、もちろん緻密な心理学的分析に基づくものではあると思うのだけど、どうやっても言ってしまえば空想の域を出ない。

今回のこのFacebookの脳科学センターのような試みは、そうした既存の心理学的なアプローチでのあいまいな「インサイト」に対して、生体学的に、「今度こそ本当のインサイト」を見つけ出そうとするもののようだ。何かの情報を見た時に、生体として「ある色を見た時に脳のある部位に電気信号が発生」とか、「この文章を見た時に発汗あり」とか、「口では快適と言っているのに脳はストレスを感じている」とか、被験者本人の体の反応を直で読み取るプロセスなら、今までのような、本人以外の第三者が、その人が本当は何を考えているのかを空想する、というプロセスよりもずっと正確だろうという考えは理解できる。しかもそれらの調査はただ生体反応を見るだけではもちろんなくて、Facebookのもつ世界最大のユーザーデータベースと組み合わせれて、実際にどのような購買行動があったかなどにも紐付けられるので、その精度の飛躍的向上は、確かに期待できる。

 

長くなってしまったので、記事を次に続けようと思う。

最近は、こうした脳科学やAIによる新しい広告やマーケティングのニュース記事を大量に見かけるようになった。次はSNS広告、AIによる自動コピーライティング、Google Home、聴いている音楽から性格判断を行うSpotify.meなどについて書きます。

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